株式会社アルファ企画 廣田様×TRANSFORM

株式会社アルファ企画 廣田様 × 株式会社TRANSFORM 佐伯

 

 

対談記事を掲載いたしました。

是非ご覧ください!

 

 

株式会社TRANSFORM

 

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『アフターコロナ時代に求められる店舗デザインとは?』

 

− :まず、コロナ渦が起きる前後での変化をどのように感じてらっしゃるのかを、お伺いしたいと思います。今でもそうですが、実際に業界ごとの違い、店舗様における傾向で感じていらっしゃることはありますか。

 

廣田氏:みんなが健康志向に走ったということもありますし、安心安全な場所や環境を意識することが増えたのかなと思います。特に対人関係、「人との接触」を避けなさいと、会社からの指示もありますし、気持ちとしても、会社に行きづらいということも出てくるのでしょう。

そういうことにみんながシフトしてきたなというのは、コロナ渦となった数年前の話ですが、そこから国内では今少し内容が変わって、7波だ8波だと言って経済的に我慢できない状態になってきています。

だから、特に飲食店なんかは、オーナーさんが設計側に「急いで進めて欲しい」と言うのだけど、設計側としては「ちょっと待て。コロナの様子を見てから。急ぐな。」と言う時代がありました。

本当だったら不動産と契約したら家賃が発生するので、すぐにお店をつくらなきゃいけない。

それは飲食以外の美容室もそういう傾向にあったと思います。今は経済を優先しようと全ての業種が積極的になってきているのかなと思います。

 

− :なるほど。佐伯さんは、実際お客様からお話を頂く立場としまして、何か変化を感じられることはありますか。

 

佐伯氏:やっぱり人と人との距離感というのは、大幅に変わったと思います。美容室であればパーソナルスペースをより重要視するようになりました。もともとこの数年、大型店よりは、ちょっとこじんまりした坪数でよりパーソナルな空間のほうが重要視されようとしていたところに、このコロナ禍でより求められるようになった。単純にミラーの間隔を少しでも広くするとか、パーテーションを設けるなど。美容室であれば予約の取り方も変わってきました。

以前は、忙しさを他のお客さんにも見せるために、あえて同じ時間帯に複数人の予約を取るお店もありました。例えば14時が空いているけど、15時に予約を集めることによって「このお店、流行っている」と印象を与える。だけど、それをすると「密」の話になってくるので、あえてしっかり時間を取り、なるべく他人とお客さん同士がすれ違わないような予約の取り方が当たり前になったかもしれない。

 

− :パーソナルなものを求められるというところで個人の方にフィットするような店舗設計が求められていることがあると思います。他にも何かあったりしますか。

 

佐伯氏:常にもちろん忙しいところは忙しいかなと思うのですが、時間帯や曜日によっては暇な時間がやっぱりあります。そういうところをうまく店側がお客様に誘導していきながら、パーソナルなスペースをあえて作るというか、そこがすごく積極的になったのかなと思います。

 

廣田氏:僕らは設計とは少し違うのですが、やっぱり人が来なくなった。指をくわえて待っているだけはなかなか難しいですから、店販商品をどう考えるかということも重要だと思います。3割くらい店販商品ですというお店もあれば、1セットしかありませんというのもあります。ヘアケア製品、健康志向のお客さんがいますからね。そういうお客さんに対してこういうものです、ああいうものですと押せるような、従業員もそういうことを押してもらえるような感じで。その店販商品もサイドビジネスですが、重要です。

 

佐伯氏:そうです。本当にこのコロナ禍で客単価が下がったことによってとか、もちろん来店の回数が減っているんですね。スパンがどうしても長くなった。今まで1カ月に1回来てるお客さんが1カ月半になった。でもその代わり、そこで1人のお客さんに対して店販を売ることによって単価を上げるという動きが、特に美容業界には広がりました。そういう面では今の店舗づくりも、より商材を身近に感じてもら得る動きが広がりました。

 

廣田氏:必要です。待合を作るときに、もう店販商品を並べられるようなそういう作り付けを作ってしまう、棚を作ってしまうとか、そういう考え方も必要ですね。

 

佐伯氏:より接客のしやすい、店販商材が売れるような什器や見せ方は、非常に注目されるようになったなと思います。

 

廣田氏:最初から店販商品10%目指しましょうというような提案があると、そのためには棚が必要ですと、お店の作り方も変わると思うんです。店販商品を売ることも会話の練習なので、「ちょっと手荒れがひどいので」とか、お客さんから教えてもらうことで、どういう事で困っているのか、その上でどういうものを仕入れたらいいのか、というい傾向がつかめるわけです。

 

− :よりお客さんの課題を解決する場所として、機能していく感じなんですね。

 

廣田氏:僕らが八百屋に行っていてもそうです。八百屋さんも傾向があるわけです。お客さんから教えてもらっているようなイメージです。そういう話は大昔からあるんですけどね。

 

佐伯:アシスタントは、初めはシャンプーから入ったりするんですが、そこで廣田さんがおっしゃったような、お客さんとどういうふうにコミュニケーションを取るか、店販の商材を売るか、ということが一つのお店に対する貢献みたいなことにもなります。

 

− :店販ってすごく大きいです。

 

佐伯氏:大きいです。ディーラーさんに聞くところによると、このコロナ禍になって店販売上がすごく上がっている。もちろんいいものを適正な価格でというのは、今のお客さんたちに求められているところなのかなと。

 

廣田氏:サービスの部分はすごく重要で、顧客管理ができていれば前回どういう会話をしたとか、どんな悩みがあるかわかる。なかなか難しいですが、大切なことだよね。デザイナーを指名してくるわけですから、それはすごく価値のある情報です。

 

佐伯氏:でも本当に、2023年は廣田さんのおっしゃってるような、より一顧客に対してすごく細やかな配慮のもと、いろんな手段でお客さんにより喜んでもらえることを細やかにやっていけるお店が、残っていくのかなと思います。

 

 

 

 

コロナ後を見据えた店舗デザインの傾向について

 

 

廣田氏:歯医者さんの設計をする事務所がたくさんあるのですが、意外と美容室もやっている。歯医者さんと美容室は、結構設計会社さんが得意中の得意にしているところがある。

歯医者って今はもう予防医学になってるから、サービス業になってるんです。

技術的なものは、例えばインプラントとか確立されたものは、もう先生方が専門家に教えてもらう時代なんです。そういう歯医者さんのインテリアデザインを見ると、個性的なお店が結構多いんです。海外のデンタルクリニックを見ると、意外とテーマ性がすごい。動物園みたいだとか森林みたいとか、湖。歯医者さんの天井に壁画があるんです。

 

佐伯氏:サービス業に近くなってきています。だから、美容室をやっている設計事務所が、歯科医院に参入しやすくなったんです。昔はやっぱり歯医者さんは病院というくくりでした。

だけど、今はどっちかといったらエステやサロンの雰囲気を求めている傾向がある。なので、美容の設計をする設計事務所なども、歯科医院からそういう提案をしてほしいと言われることが、この数年ぐんと増えたんです。

 

廣田氏:美容室もサービス業なんです。キッズルームを作ったり、待ち合いを上手にしたり、さっきのパーソナルスペースを少し広く取ったりというところを丁寧にやっていかないといけない。

ただ、サービス業であるということを意識しすぎてもいけない。条件に合うような店舗づくりというのが一番いいと思います。

 

− :美容業界のお話とクリニックに求められるものが変わってくる。飲食のところで変化は、多くの方々が感じられているものがあると思いますが。

 

廣田氏:飲食は業態を結構変えましたね。大手ですが居酒屋が焼肉屋になったりだとか。以前はガチャガチャしていることが一つの雰囲気でした。

 

佐伯氏:ガチャガチャしているのが昔は良かったです。

 

廣田氏:今はもう隣とパーテーションを作っていますが、横から見ると若干見える。あれはちょっと頂けないかな。海外はしないです。

 

− :私も求められるものが変わってきているんじゃないかなというのは、感じます。

 

佐伯氏:今、両極端なのかなと思うんです。例えばラーメン屋さんのカウンターに行っても本当に仕切りがあって、特に関東はこういったパーソナルを大事にした空間が多かったのかなと思うんです。

だけど、実際今の美容も飲食もこうやってパーテーションを立てるのは当たり前になってきてしまったんです。

だけど、片やオープンキッチンのような真四角の店舗があって、真ん中にコの字やロの字のような厨房を設けて、お客様がそのカウンターに座って、お店自体が一体感で飲んでるような感じとかも、店の作り方で非常に多くなってきている。

この2年ぐらいのコロナ禍のコミュニケーション不足から、求められているのでしょう。

 

廣田氏:だから、飲食は特にそうなんですけど、うちの話でいうと10坪以下の雑誌があるんですけど。あれは例えばオーナーがシェフだから、コの字にしてプレゼンテーションで料理を見せる。これが都市型のはそうだと思うんですが、郊外に行くとやっぱり家族連れも来るから、椅子とテーブルをいくつか用意したほうがいい、という流れに変わるわけです。必ずしも同じ店舗づくりじゃないので。今改装案件が非常に多いんです。

 

− :コロナ後を見据えての店舗改装なんですね。

 

廣田氏:例えば、ちょっとだけスペースを広くするために作り変える。改装のほうがどこかに動くよりも安く済むということもあるのかと思います。飲食の場合でしたら、Uber Eatsなんか来ると、レジの横に受け渡しの場も必要になってきて、そのためにちょっとお店作りが変える。それが改装になってくるわけですね。

 

佐伯氏:今まではテイクアウトをしなかった店が、ちょっと外に向けて開口を開けてカウンターを作って、テイクアウトができるようなお店作りというか、そういうプチ改装というケースも増えたなと思います。

 

廣田氏:結構あるね。それはコロナに対応したやり方で、それぞれオーナーの考え方だと思うんですけどね。

 

− :出店エリア(郊外と都市部等)が異なると、求められる店舗設計も変わってくることもあるかと思いますが、コロナ前と比べそういったやりとりに変化はありましたか?

 

佐伯氏:そうですね。先ほども言っていたような私らのお客さんは特に、都心部のほうが売上が下がった。今まで都会に出て髪を切りに行ったのが、コロナで規制もされ出歩かないようになったので地元で切ってみた。案外郊外のほうがコロナの時よりも、新規のお客さんが増えたというのが多いんです。だから、都心は結局売り上げが下がったというんです。みんなやっぱりお買い物の延長線上で美容室に行き、帰りにご飯を食べる。だけどそれが規制されることによって少なくなった。逆に地元はそれで活気づいたというか。それがすごく聞いていてなるほどなと。

 

廣田氏:市町村によってでしょうが、地元で使えるチケットがどの市も盛んにありますからね。うちの周囲もあるんですけど。それで飲食だけじゃなくて美容室も使えますからね。大きなところはちょっと使えなかったりするんですけど。そういうこともあって「じゃあチケット使って美容室行くか」というね。

 

− :ご依頼頂くデザインについて、以前と比べてどういったオーダーを頂くことが増えましたか?

 

佐伯氏:工夫やアイディアを求められるようになっていると感じます。やっぱり内装の目線でいくと、そうなってきますよね。単純に同じ坪数で今までだったら間仕切りを作らなかった。だけど、間仕切りが増えたということは造作することが増えた、単純にそれだけでも価格が上がっているわけです。材料の高騰もある中で、特に2店舗目、3店舗目のお客さんは昔を知っているだけに「この坪数だったらこれぐらいの坪単価でいけたんじゃないか」という頭がどうしてもあるので、今の材料の価格の高騰はかなり厳しい。そこに工夫やアイディアが非常に求められるようになっている。

 

廣田氏:建物だけでなくて、そういう建材、建築材料も海外から随分お世話になっている。だから、美容室で僕が知っているところは、ドアが無い。どこで作っているかというと中国で作ってる。

 

 

 

 

 

無駄な空間もあるからこそ、そこに快適性や何かほっとするみたいなところがあるということを、やっぱり僕らは言い続けていかないと。

 

2023年以降、店舗に求められるものについて:無駄な空間の価値

 

佐伯氏:SDGsは素材や材料を直結する部分かなと思います。こだわった材料で地球にやさしいということが、お店としてもお客さんに何をアピールするかでせめぎ合っている。顧客第一で顧客にもっと寄り添ってということも必要。僕らもやっぱりアンテナを張りながら、材料の提供が必要なのかなと。

 

廣田氏:僕は先週、ビックサイトでホーム&ビルディングショーに3日間出ていたんです。そこには設計会社3社、アーティスト3者、協賛会社が4社、カタログの協賛が8社で、8ブースぐらいうちが管理させてもらったんです。日本の実業家さんの大きなイベントなんです。そこでカタログ協賛してもらったところに、SDGsの建築版というのがあるんです。ハンガリー王立協会かどこかがやっていて、日本の著名な建築家が翻訳して、それを300ぐらい配った。全員に配ったら「そういうのは見たことがない」と。SDGsは17の項目があると思いますが、2番目に「食事の世界環境をよくしましょう」というのがあり、それの建築版があるんです。食事と建築ってどういう関係なのかと。食事は農業じゃないですか。農業は灌漑、水じゃないですか。水はダムじゃないですか。ダムって建築ですね、とこうつながるわけです。それが全項目17全部ある。「環境を良くしましょう」というのもあるんですが、「自然を破壊するようなものは使わないようにしましょう。それは私たち美容室ではこういうふうにやっています」など。美容版のSDGsがあるといいんですけどね。

 

佐伯氏:結局すべてがそういう形で循環しているから、何かしらにつながっていくし、それが大きな回転にもなっていく。

 

廣田氏:それを見ると、建築って世の中にすごくつながっているんだというのがわかる内容になっています。

 

− :先ほどおっしゃっていた求めるコンセプトもとても大事で、いろんな考えがより求められてくるということでいきますと、共通されてるのはどういう考えを持っているのかということをちゃんとデザインやお客さんに知っていただくために形にしていくというところが、より求められる傾向にあるのかなと思って聞いていました。例えば佐伯様の現場では、そういう話をされるお客様が増えていらっしゃるのかと思いますし、廣田様からするといろいろな業種や会社さまからのお話をされていて、傾向としてもお感じになることがありますか。

 

廣田氏:これからはマーケティングの時代じゃないかと思っています。相手がどう思うのか、どう考えるのかということを、自分たちが相手を知らないとなかなか難しいので、やっぱり提案力なんです。プレゼンテーション力というのは、相手をよく知るということが大切なので、やはり提案力や企画力がないと、と思うんです。思いつきでやっていると続かなくなってしまう。お客さんのほうが詳しかったり、お客さんのほうがネットで情報を持ってますからね。

お客さん以上に情報に対して敏感にならないといけないと思います。

 

佐伯氏:私らもお店を作る限り、その周りのことも知らないといけない。そのお店のオーナーが、こんなお店を作りたいんです、もちろんそれを知ることがまず一つの絶対だと思うんですけど。でもそこプラスα、今廣田さんおっしゃっているプレゼン力といいますか、設計者がお客さんの期待を上回る提案力があって初めて、「このデザイナーに頼んでよかったな。この会社に頼んでよかったな」というお話になるのかなとは思うので。

 

廣田氏:環境をよく見て調べるということは成功につながるので。年齢が違っていたらお店作りも変わりますからね。サービスのあり方も変わってしまうんで。そういうマッチングがちょっとまずいと、営業時間や料金も変わってきますので。設計者のほうが上手だったら、指名が多いと思いますけどね。

 

− :お客さんがこういうお店にしたいという情報だけで進めず、本来見えてないけど引き出してくださると、ありがたいなというケースもあると思うんですが。

 

廣田氏:そうです。

 

佐伯氏:そうなんです。美容室を作るということにかけてはもう何百件とやってきてるので、アドバイスを送りながら、このシチュエーションでこのタイミングのときはという、ほんとに建築の内装以外の話も半分以上してたりするんです。

 

− :そうなんです。

 

佐伯氏:やっぱりそれがあるからこそ、お客さんが信頼、信用してくれる。これはTRANSFORMとしても、やっぱりそこのスキルというか人間力をまず上げないといけない。

 

長谷氏:形だけを作るんじゃなく。

 

佐伯氏:自分なりに解釈して、自分の意見としても持っといたほうがより強いのかなと思います。

いろんな業態の人がいろいろ集まると、もちろん価格も膨れますよね。だから、実際のトータル金額をコンパクトにしながらクオリティーの高いものを求めようと思ったら、人一人がどれだけのスキルを持っているかによって変わってくると思います。

 

− :どちらかというと最初にあったようによりパーソナルな内容に特化提供したいというオーナーさんが増えていて。パーソナルなところをちゃんと把握しておかないと、店舗になっていかないということです。

 

佐伯氏:そうです。

 

− :ありがとうございます。美容業界以外の改装もよく見てらっしゃると思います。こういう話は、どこでも近しい変化なのかなとは思っていたんですけども。そういった目線でTRANSFORMさんにどういうような印象を持ってらっしゃって、どういうところが強みに感じるかなど、あれば教えてください。

 

廣田氏:設計会社さんを大まかに僕が言うと、1人の先生がいて、社員がお弟子さんというパターンがあるんです。その先生が全部見て、気に入らない空間は…。そういうパターンが往々にしてあるんですけど。お弟子さんなので若い人が多いんですが、すぐ辞めていったりするんです。

TRANSFORMさんはやっぱりビジネスタイプだと思うんです。いくつかで競い合ってやっている。

競争で安い方向に走ってしまうと、やっぱり最後は自分の首が絞まっちゃう。設計会社さんを回ってそんな印象を感じましたけども、皆さん真面目な人です。独立志向の高い人ばっかりなので「辞めたけど、うちの本に載せてもらえますか?」という問い合わせも来ますし。

 

佐伯氏:こういうピラミッド型の設計事務所さんというのは、本当に上のところです。お客さんも情報として自分で入れるようになってるんで、先ほど廣田さんがおっしゃったように、お客さんが賢くなっているというか知識がすごく増えました。お客さんがそれはもうわかってしまっているとなると、やっぱりどこかで差別化をしていかないといけなくなる。プロとしても意見を持ちながら、よりお客さんの想像を超える提案力が必要になってきます

美容室は特に、ものすごく機能的な部分は機能的なんです。だけど利便性だけを求める空間はやっぱり退屈なんです。すごく生産的なお店というのは、経営側として良い条件ですが、

実際、お客さんがそれを求めているかといったら、求めていない。

居心地の良い空間というのは、無駄な空間もあるからこそ、そこに快適性や何かほっとするみたいなところがあると思うんです。そういうことを、やっぱり僕らは言い続けていかないと。

 

トイレは企業の考え方が表現される場所

 

廣田氏:うちの本で、色々な店舗のトイレだけを集めた本があるんです。第1号が完売しちゃって、第2号を3年前(2020年?)に作ったんです。トイレというのはデッドスペースのように思われるんですけど、テーマ性を設けたり、広さやデザインを上手使うと、滞留時間が長くなる。そうすると百貨店の場合だと売上につながるという結果がもう出てるんです。飛行場やサービスエリアとか大きな施設とか、百貨店も含めてそういうところはやっぱり広さも、テーマ性もあってデザイン性のパーツを入れてますからね。

 

− :トイレってその企業のコンセプトや考え方なんかが現れる場所かなと思います。

 

佐伯氏:本当にまさしく。

 

 

廣田氏:意外とトイレはテーマ性を設けてあげるとすごく変わります。もうそれだけでオーナーが喜ぶかもしれません、設計会社の提案内容がすごいねと。

 

− :トイレを機能面で作るのか、テーマ性で作るのか。先ほどのデッドスペースにさえちゃんと意味を持ったスペースになっているかそうじゃないか。2023年以降の店舗設計における、重要なポイントなのだと聞いていて思いました。

 

佐伯氏:そこのいわゆる「間」の部分が、やっぱり日本人って縁側の考え方。内と外をつなぐ縁側。そこは結局どっちつかず。だけどどっちのいいところも兼ね備えていて、あれも非常に曖昧な空間。でもその曖昧さが心地よいという部分を、内装や僕は特に建築にちょっとでも盛り込みたい、盛り込めればそこに付加価値が見い出せるんじゃないかなと。

廣田氏:そこにオーナーさんが感動するんだ。それは資料や、インターネットに掲載されない箇所になる。

 

− :検索しても出てこないですね。

 

廣田氏:検索で出てこない。そういうのがいいね。

 

廣田氏:だから、そういう提案が佐伯さんからもらえるとしたら、オーナーさんも「この人、気持ちに余裕のある人かな」「ユーティリティ作ったほうがいいです、スペースとして」とかね。

 

佐伯氏:そうですね。

 

廣田氏:建築じゃないけど、人によっては入口に生花を毎週のように替える人いますよね。気持ちに余裕があるなって。

 

佐伯氏:ああいうのは絶対大事なんです、店舗は特に生花を本当に定期的に変えて、それは見る人が見たら、その手間暇やお金がかかってることもやっぱりわかりますし。

 

廣田氏:そうです。

 

 

 

 

 

今後店舗開業を考えている皆様へ

 

− :最後に2023年以降、業界における予想される傾向と、TRANSFORMさんに伝えたら良いことをこれからお店作りをさせるオーナーさんに一言いただけますか。

 

佐伯氏:やっぱり僕らもお客さんにどう寄り添っていくか。より寄り添っていかないといけない反面、自分たちもいろいろ吸収するものを吸収して、それを惜しみなくお客さんにぶつけていくということを、より大事にしていかないといけないのかなと思ってます。

 

廣田氏:オーナーになりたいという人は、潜在的には山ほどいます。美容室の労働環境も少しずつ改善されて、社会保険に入ってるところも非常に多くなってきてます。今までは丁稚奉公のような感じでやってたんですが、彼らは収入が増えてくると、「独立したい」という人たちも増えるので、毎年かなりの方が独立されます。また2店舗3店舗と多店舗展開しているオーナーさんもいると思います。そういった人たちに対する参考資料として本も作ってるので、その本をたくさん見てもらいたい。時流に合ったデザイン、僕はSDGsに関係するような提案がトレンドになると思います。

絶対最後は環境にやさしい会社が生き残りますから。

 

佐伯氏:そうです。いち早くやった会社がやっぱり。

 

− :デザインのよさだけでなく、機能性やSDGsを含めた考え方を以てお客様に伝えていく必要があるのかなと思いました。

 

廣田氏:「環境にいいからこれをやってるんです」「あ、そうなんだ」そうすると来店客と話すときも環境の話がずっとできるわけですね。

 

 

 

 

 

 

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廣田守男/Hirota Morio

アルファブックス/株式会社アルファ企画

1980年広告制作・企画会社を新宿区で立上げ独立。 

2000年出版業務に進出し、建築・インテリアザイン書を発行。美容・エステ、医科歯科、飲食、住宅、 オフィス、ホテル、ロゴマークなど多数発行。

 http://www.e-webpro.jp/

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